慢性テニス肘の治療におけるマイクロカレント療法

ケンちゃん!この前は微弱電流が効くのかどうかを筋肉の損傷に効果的だった論文を基に勉強したじゃない?
今回は慢性的な痛みに対しての論文なんだけど見てみない?

この前の時間稼ぎって言った患者さんにはこの前の筋損傷の論文の事を教えたら少し納得してたよ!
でももっと深掘りしてみたいな!

微弱電流はまだまだ研究段階のものでもあるんだけど、色々と実験をしている論文もあるんだ!
今回はテニス肘の治療で出力を変えて効果が違うのかを深掘りしてみよう!
慢性テニス肘の治療におけるマイクロカレント療法
〜パラメータ最適化のためのパイロット研究〜
研究の背景と目的
MCTは難治性の皮膚病変や骨病変に用いられますが、腱障害に対する効果についてはほとんど知られておらず、最適な治療パラメータも不明です。
本研究では、(i)電流強度、(ii)波形および治療期間を変化させた場合、慢性テニス肘に対するMCTの効果に影響があるかどうかを検証するために、2つの研究を実施しました。

微弱電流に興味を持ったから次はどんな出力が何に効果あるのかとか知りたいんだよなぁ!
研究方法
試験デザイン
単一施設における二重盲検・ランダム化比較試験(Double-blind Randomized Controlled Trial)
被験者
3か月以上症状が継続している慢性の肘外側上顆炎(テニス肘)患者 22名
グループ分け
被験者は以下の2群にランダムに割り振られました。
50 µA群(11名): 極微弱電流刺激グループ
500 µA群(11名): 従来型のマイクロカレント設定(上限付近)グループ
盲検化の工夫
50µAも500µAもともに患者が体感できない無感覚レベル(Sub-sensory threshold)の電流であるため、患者自身も施術者(および評価者)もどちらの出力が通電されているか分からない二重盲検で厳密に実施されました。
治療プロトコル(具体的パラメータと施術方法)
使用機器
単相(Monophasic)直流マイクロカレント機器
通電パラメータ
電流強度: 50 µA または 500 µA(群による)
周波数: 0.5 Hz(組織修復・超低周波領域)
波形: 矩形波(Square wave
施術方法
通電時間: 1回あたり 45分間
施術頻度: 週2回、計 6週間(全12回のセッション)
導電部(電極)の配置: 肘外側上顆(短橈側手根伸筋腱の付着部周辺)の圧痛点および障害組織を挟み込む形で電極(パッド)を配置。
評価方法
患者主観的評価
・PRTEE(Patient-Rated Tennis Elbow Evaluation)
テニス肘専用の機能障害・痛み評価スコア
・VAS(Visual Analogue Scale)
日常生活や執筆・握力発揮時の痛みの評価。
客観的身体機能評価
・無痛性握力(Pain-free grip strength)
痛みが誘発されずに握れる最大筋力を測定
超音波組織像評価(超音波エコー検査)
肘外側上顆の総伸筋腱(Common Extensor Tendon)に対し、超音波画像診断装置を用いて低エコー領域(腱の変性・微小損傷部位)の範囲やコラーゲン線維の配列構造の変化を客観的に数値化・観察。
主な知見と結果
50 µA群
15週時点での臨床的回復率は 93% と極めて高い結果を示しました。
500 µA群
15週時点での臨床的回復率 47% に留まった。
まとめ
「より弱い出力(50 µA)」の方が著しく高い治癒・組織構造改善効果を示すという明確な有意差が確認されました。
腱や靭帯など血流の乏しい組織の変形・障害においては、マイクロカレントの出力を無暗に上げるよりも、50 µA程度のより微弱な刺激(極微弱電流)を設定する方が組織再生と症状改善に有利であることが提示されています。
本研究の最大の特徴は、「患者に電気の体感を与えない(無感覚である)」というマイクロカレントの特性を逆手にとり、完全に二重盲検化された状態で『50µA vs 500µA』という極めてピンポイントな出力差のみを条件抽出して比較した点にあります。
この緻密な実験設計により、主観的なプラセボ効果を排除した上で、微弱電流の出力設定が組織再生(エコー像)と臨床症状に与える影響を厳密に浮き彫りにしています。

今回の使用した機器は「単相(Monophasic)直流マイクロカレント機器」となっていますが、極性 の違いや機器の違いによっても効果は変わってくるのかもしれませんね。
微弱電流の今後の進歩には注目です!!
筆者の総括
今回の論文は前回に続いて微弱電流の論文でした。
私が使用している伊藤超短波のES-400でもマイクロカレント療法が使用でき、出力も調整が可能です。
今回の結果から慢性痛に対して50μA程度の微弱電流の中でもさらに弱い出力が効果的との事で、私も微弱電流には慢性痛なのか、急性痛なのかで使い分けをするようになりました。
前回のブログにも書いたように刺鍼をしてから近くにマイクロカレントを流すのは患者さんの反応は良い印象です。
しかし今回の論文は直流の通電タイプの機器を使用しているとの事です。
直流だから微弱電流の中でもより微弱な電流が効いたのか?
交流だと50μA程度のものは本当に効果的なのか?
そういった事もまだまだ解明が必要なマイクロカレント療法についての深掘りは必須と感がた方がいいでしょう。
微弱電流に関しての論文や本も積極的に探してみたいと思います。
今回の論文
著者
Poltawski L, et al.
掲載誌
BMJ Open
掲載年
2012年
免責事項
本記事は最新の研究論文(医学的文献)に基づいた情報提供を目的としており、特定の治療法や効果を保証するものではありません。特定の症状の診断や治療については、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。

