【鍼灸院での凍結肩ケア】温熱と鍼の相乗効果

う〜ん…
どうなんだろうなぁ…

おやおや。どうしたんだい?

この前ラジオ波が拘縮肩に良いって事を論文で解説してもらったじゃん?
僕は鍼灸師だから鍼とラジオ波を合わせた施術は効果あるのか考えてたんだよ!


応用的な視点だね!!
ケンちゃん治療家として良い傾向だね!
古くから東洋医学ではお灸があって、温熱は使われていたよね?
温熱と鍼の組み合わせについても触れられた、こんな論文を今回はどうかな!?
中医学的外療法による凍結肩治療の進歩
〜総合的レビュー〜
研究の背景と目的
背景
凍結肩(Adhesive Capsulitis: AC)は、肩関節包の拘縮、著しい疼痛、可動域制限、および運動機能障害を特徴とする疾患です。
病期が長く再発率も高いため、患者のQOLを著しく低下させます。
西洋医学における保存的療法(ステロイド注射や内服)や強制的受動術・外科的切開などの侵襲的アプローチには、「単一的な介入に留まる」「副作用のリスクがある」「長期的再発率を抑えきれない」といった臨床的限界が存在するとの考えもあります。
目的
非侵襲的〜低侵襲的で安全性の高い「東洋医学的外療法(鍼治療、推拿/手技、外用薬、温熱療法、およびそれらの複合療法)」の臨床効果および生物学的メカニズムに関する最新知見を包括的にレビューすることです。
単一の治療法だけでなく、複合的な外部刺激アプローチがどのように多角的な作用(マルチターゲット)をもたらすかを学術的・体系的に整理・解明することを目的としています。

古来より伝わる東洋医学的な温熱療法と鍼。それぞれの強みがどのように発揮されて拘縮肩の改善につながるのかって事だね!
主な知見と結果(臨床メカニズム)
本レビューでは、東洋医学的外療法が以下の3つの生物学的経路を通じて強力な治療効果(疼痛抑制および関節可動域の回復)を発揮することが示されています。
抗炎症作用と局所微細循環の改善(温熱・物理刺激の寄与)
関節包や周囲軟部組織への温熱・手技刺激は、局所の毛細血管を拡張させて微細循環(血流・リンパ流)を劇的に改善します。
これにより、局所に滞留していた発痛物質(ブラジキニン、P物質)や炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β等)の排出・洗浄(ウォッシュアウト効果)が促進されます。
当論文には温熱療法に関しては物理療法機器ではなく漢方薬を使った温湿布として書かれています。
線維化(Fibrosis)の抑制と組織粘弾性の向上
凍結肩の本態である「関節包の線維化および肥厚(コラーゲン線維の過剰架橋)」に対し、組織温度の上昇や物理的機械刺激がコラーゲン線維の可塑性を高めます。
これにより、関節包および筋膜の硬度(Stiffness)が低下し、可動域(ROM)の可塑的改善が得られやすくなります。
神経修飾による鎮痛と下行性抑制系の活性化(鍼刺激の寄与)
鍼による機械刺激(ニードリング)は、AβおよびAδ神経線維を刺激し、脊髄レベルでの「ゲートコントロール説」を作動させてペインインパルスを遮断します。
さらに中枢神経系に働きかけ、内因性オピオイド(β-エンドルフィンなど)の分泌を誘発すると同時に、脳内下行性疼痛抑制系を強く活性化させて痛みの閾値を引き上げます。

【温熱療法による血流向上による痛み物質のウォッシュアウト】
【温熱による関節包や筋膜の硬度の低下】
【鍼によるゲートコントロール&内因性オピオイド分泌】
それぞれの強みが発揮されるんだね!!
【複合療法の臨床的結論】
単一の単独療法(鍼単独、あるいは物理療法単独)と比較して、
・温熱・物理的アプローチ(代謝・組織の弛緩)
・鍼刺激(神経修飾・高度な鎮痛)
鍼治療と温熱療法を組み合わせた複合外療法の方が、臨床的効果(疼痛VASの低下・ROM獲得スピード)において有意に優れていることが結論付けられています。
まとめ
本論文は、現代の統合整形外科・ペインクリニックの文脈においても非常に理論的な臨床的妥当性を示しています。
「ラジオ波(高周波温熱療法)+ 鍼治療」のアプローチは、本論文で提唱されている複合療法のメカニズムと合致していると考えてよいでしょう。
ラジオ波による事前処置
深部加温で関節包・インナーマッスルのコラーゲン組織の粘弾性を高め、血流を増加させることで、組織の「物理的アプローチへの受容性」を最大化します。
鍼治療による直接的介入
微細循環が改善し組織抵抗が下がった状態のターゲット(ターゲット筋や関節包周囲)へ鍼を打つことで、下行性鎮痛経路を強く作動させ、運動療法時の痛みを最小化します。
つまり、「ラジオ波で組織環境を整え、鍼で神経系にブレーキをかける」という相乗的プロトコルは、単に痛みを散らすだけでなく、組織の病態生理学的改変(線維化抑制と神経リセット)を同時に狙える理にかなった治療法であると医学的に評価できます。

鍼とラジオ波(温熱療法)の合わせ技は四十肩・五十肩と言われる肩関節周囲炎(拘縮肩)へのアプローチとしてはかなり有効だという事がわかったぞ!
今度から試してみよう!
筆者の総括
今回の論文を読み解く事で温熱+鍼が凍結肩の治療には有効だと言う事がわかりました。
しかし【温める+鍼を打つ=改善する】で何も考えずにやればいいと言う事ではありません。
⚪︎温熱
=血流の改善による痛み物質の洗浄・排出、コラーゲン繊維の可塑性を高めROM改善
⚪︎鍼
=ゲートコントロール・内因性オピオイドの分泌による痛みの緩和
こういった機序を頭に入れた上で臨床に挑む事が重要だと考えています。
私は臨床では肩関節の拘縮に関してはラジオ波を使った深部加温を行い、ストレッチ・運動療法を行い関節包や筋膜のコラーゲンの弾性を促進して可動性の獲得を目指します。
その状態で鍼治療+パルスによる痛みの緩和を行います。
しっかりと炎症期と拘縮期を判断して温熱を加える事。
悪化させないようにタイミングをしっかりと把握した治療を目指しています。
今回の論文
著者
Jingbo Yang et al.
掲載誌
Journal of Pain Research (PMC)
掲載年
2024年
免責事項
本記事は最新の研究論文(医学的文献)に基づいた情報提供を目的としており、特定の治療法や効果を保証するものではありません。特定の症状の診断や治療については、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。

