物理療法関連

【凍結肩・拘縮肩】なぜラジオ波で凍結肩の痛みが減り肩が動くようになるのか?

medebilabo00

ねえ!ルー博士!!
肩関節周囲炎(五十肩)で悩んでる人って多いよね?
どんな治療のアプローチがおすすめとかある?

ルー博士
ルー博士

そうだね〜 肩関節周囲炎って言っても炎症期、拘縮期、寛解期と分けて考える必要があるけどケンちゃんが壁に当たってるのって拘縮期なんじゃない?
どうしても伸び悩むもんね。

さすが!ルー博士!!
そうなの!拘縮期って患者さん的にも治っていくのか不安と思うし、治療してるこちら側も変化がないと焦れるし…

ルー博士
ルー博士

うんうん!わかるよ!
個人的におすすめなのが温熱療法だよ!
ラジオ波って聞いた事ある?
そんなラジオ波を使った凍結肩への治療効果を書いた論文を紹介するね!

なぜラジオ波で凍結肩の痛みが減り
肩が動くようになるのか?
(検証論文より)

研究の背景と目的

背景

凍結肩(Adhesive Capsulitis)は、関節包の増厚・線維化(Fibrosis)および慢性的な炎症に伴い、激しい疼痛と他動的・自動的可動域(ROM)制限(特に外旋・屈曲制限)をもたらす疾患です。
TECAR療法(Transfer Energy Capacitive and Resistive Therapy:ラジオ波/高周波温熱療法)(※以下ラジオ波)は、高周波電流(447kHz前後)を用いて生体組織内部から摩擦熱(深部熱)を発生させる技術です。
これにより、表層のみを温める従来の温熱療法とは異なり、関節包や深部筋群・腱組織といった深部結合組織へ直接熱エネルギーを到達させられる特徴があります。

温熱療法ってホットパックやマイクロ波は知ってたけどラジオ波っていうものもあるんだね!
関節包や腱まで熱エネルギーが届くのはすごいな〜!

目的

凍結肩患者に対して、標準的な理学療法/運動療法に「ラジオ波」を組み合わせた場合と、対照群(疑似照射または標準療法単独)を比較。
疼痛(VAS)、肩関節障害指数(SPADI)、および他動的可動域(ROM: 特に外旋・屈曲等)に及ぼす短期的・中期的効果を科学的に検証することを目的としています。

主な知見と結果(研究結果とメカニズム)

臨床評価指標の有意な改善

疼痛の減少(VAS)

TECAR群において、治療開始後早期から運動時痛および夜間痛のスケール(VAS)が有意に低下しました。

肩関節機能障害の改善(SPADI)

SPADI(Shoulder Pain and Disability Index:肩痛・障害指数)のスコアが大幅に改善し、日常生活動作(ADL)の制限が緩和されました。

他動的可動域(Passive ROM)の拡大

  • 特に凍結肩で最も制限されやすい「他動的外旋(External Rotation)」および「屈曲(Flexion)」の角度改善において、対照群と比較して統計学的に有意な優位性が示されました。

組織・病態生理学的メカニズム(なぜ効くのか)

コラーゲン組織の粘弾性向上(関節包の線維化改善)

深部熱によりターゲット組織(関節包・腱・靭帯)の温度が上昇(約40〜41℃)することで、コラーゲン線維の粘弾性・可塑性が急増します。
これにより、硬化した関節包のStiffness(剛性)が低下し、ストレッチや徒手療法に対する組織の伸展性が高まります。

ルー博士
ルー博士

痛みの抑制も大切だけど、拘縮期で固まった肩関節は温熱の作用で伸長性を取り戻す事が重要だね!

局所微細循環と代謝の劇的亢進

交感神経の局所抑制と血管拡張作用により、深部組織の血流・リンパ流量が飛躍的に増加。微細循環が滞ることで溜まっていた発痛物質(ブラジキニン、P物質など)や炎症生成物の代謝・流出(ウォッシュアウト)が促進されます。

痛覚閾値の上昇(神経学的作用)

  • 高周波エネルギー刺激と深部加温の相互作用により、局所の痛覚受容器の閾値が上り、疼痛シグナルの発火が抑えられます。

ルー博士のいう「伸長性の取得」と痛みの緩和が同時に得られる事がラジオ波による温熱療法の強みだね!
熱を入れながら患部のストレッチをしてみても効果があるんじゃないかな?

まとめ

本論文は、「ラジオ波(TECAR)を当てることで、なぜ関節包の引っかかり(線維化)が解け、外旋や屈曲が素早く動くようになるのか」の生体メカニズムを明確に裏付けています。

単に「温めて気持ちが良い」という表面的な熱刺激ではなく、「関節包の物理的硬度(Stiffness)を低下させ、局所代謝を激変させる」という組織変化を引き起こす点がラジオ波の真価です。

筆者の総括

今回のブログはラジオ波による温熱療法がどういった機序で肩関節周囲炎による拘縮肩に実用的かがわかりました。
肩関節周囲炎では炎症期と拘縮期の見分けをしっかりと鑑別が重要です。
炎症期に温熱を強く加えてしまうと痛みや炎症を増悪させてしまうこともあります。
しかし拘縮期であれば「痛みの緩和」「機能改善」「関節可動域拡大」のエビデンスを軸にラジオ波による温熱は強い武器になり得ます。

臨床の現場では実際にブログの内容にもあるように「コラーゲン線維の粘弾性・可塑性が急増しているタイミング」を逃さない事がポイントです。
温熱を加えた直後に、ストレッチや運動療法を行う事で何もしていない状態よりも無理な痛みを伴わずに関節可動域向上が図れます。
さらに可動域を確保した上で痛みの閾値調整として鍼通電を加えたり、思いつく限り手を尽くした治療を提供しています。
物理療法と運動療法・鍼灸手技を有機的にリンクさせることが臨床成果を高める鍵だと実感しています。

温熱の後にどうするか?
鍼を加えるのか?電気療法を加えるのか?運動療法を加えるのか?
そこは各々の先生方の腕の見せ所です。

今回の論文

論文名
Effect of Transfer Energy Capacitive and Resistive Therapy on Shoulder Pain, Disability, and Passive Range of Motion in Patients With Shoulder Adhesive Capsulitis: A Preliminary Randomized Trial

日本語タイトル
凍結肩患者の肩痛、障害度、および他動的可動域に対する定容量・定抵抗電磁波(TECAR)療法の効果:予備的ランダム化比較試験

著者
Maryam Raeisi et al.

掲載誌
Journal of Chiropractic Medicine (PMC)

掲載年
2025年

免責事項

本記事は最新の研究論文(医学的文献)に基づいた情報提供を目的としており、特定の治療法や効果を保証するものではありません。特定の症状の診断や治療については、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。

ABOUT ME
Wataru
Wataru
鍼灸師 / 柔道整復師
柔道整復師14年目 / 鍼灸師8年目 / 医学的根拠を基に安全な鍼灸施術や外傷施術を提供するべく日々奮闘中。色々な医学論文を読んでしっかりと勉強していきたい / 趣味:サッカー、DIY
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