微弱電流って本当に効くの!?

ルー博士聞いてよ!!

どうしたの??

この前来られた患者さんにマイクロカレントを流してたんだよ!
そしたら「先生!電気点け忘れてますよ!」って…
「これマイクロカレントって言って微弱電流だから感じないものです」って言ったらなんて言われたと思う?

なんて言われたの?

「そんなこと言って時間稼ぎしてんじゃないの?無駄な時間使わないで!」って
あんまりじゃない?

それはきついね〜
でもマイクロカレントって微弱電流だからこそ何に効くのかをしっかり説明できないといけないよね!
しっかり説明できそう?

うっ!!それは…

(笑)
そんな事もあるかと思ってこんな論文用意したよ!
微弱電流電気神経筋刺激は
マウスの損傷した骨格筋の再生を促進する
研究の背景・目的
骨格筋損傷(筋断裂など)の治療には、主に損傷した筋肉の安静ケアなどの保存療法が一般的に用いられます。
過去のいくつかの研究では、微弱電流電気神経筋刺激(MENS)が損傷した軟部組織の修復を促進し、回復期間を短縮することが報告されています。
しかし、損傷した骨格筋の再生に対するMENSの効果はまだ不明です。
本研究の目的は、動物モデルを用いて、損傷した骨格筋の再生過程に対するMENSの効果を調査し、損傷した骨格筋のサテライト細胞がMENSによって活性化されるかどうかを解明すること。

これまでの研究では微弱電流が軟部組織の修復を促進する事は報告があるけど、筋肉の損傷に効くかは不明だったので今回はマウスの骨格筋を使用して微弱電流が損傷した筋の細胞を活性化させるのか実験したんだね。
具体的な方法
損傷モデルの作成
マウスの前脛骨筋(TA筋)に対し、カルジオトキシン(Cardiotoxin:蛇毒由来の筋破壊毒素)を局所注射し、筋線維を意図的に壊死・破壊させて実験的な筋損傷モデルを作成。
通電条件(MENSパラメータ)
電流強度
10 µA
周波数
0.3 Hz
通電時間
1回 60分間
実施頻度
損傷翌日から連日実施
評価項目・分析手法
組織学的評価
HE染色および免疫組織化学染色により、筋線維の横断面面積(CSA)や再生筋線維の特徴である「中央核(Centralized nuclei)」を測定。
分子生物学的評価
筋衛星細胞のマーカータンパク質であるPax7や、筋分化マーカー(MyoD、Myogeninなど)の発現量を解析。
主な結果と詳細データ
筋衛星細胞(サテライト細胞)の著しい増殖
MENS通電群では、損傷後早期においてPax7陽性細胞(未分化な筋衛星細胞の指標)の数が対照群(非通電群)と比較して有意に増加しました。
これは、微弱電流が休眠状態のサテライト細胞を速やかに刺激し、細胞分裂・増殖のサイクルへ導いたことを示しています。
再生筋線維の成長速度(横断面面積)の加速
損傷からの回復過程において、新しく作られた再生筋線維の横断面面積(CSA)がMENS群で著しく増大しました。
通電を行った筋肉では、中央核を持つ若年性の再生筋線維がより早く成熟し、本来の太さへ急速に回復していく様子が確認されました。
筋タンパク質合成の促進
筋組織全体におけるタンパク質含有量を測定した結果、MENS群では対照群と比べて筋タンパク質の回復率が統計的に有意に高い数値を示しました。

感じないくらいの微弱電流でもちゃんと細胞への刺激になり、横断面積の増加や筋タンパク質の回復率の上昇が見られたんだね!
まとめ・臨床への応用と考察
本論文から得られる最大の知見は、「MENSは単に痛みを和らげるだけでなく、壊死・損傷した筋組織そのものの再生・修復スピードを物理的に加速させる可能性がある」という点です。
微弱電流刺激(10µA / 0.3Hz)は、休眠状態にある筋衛星細胞(サテライト細胞)を速やかに活性化・増殖させ、損傷した骨格筋の再生および筋タンパク質の合成速度を物理的に促進させる。
- 肉離れや打撲の早期回復
急性外傷の初期段階から10µA/0.3Hzといった極微弱な電流(無感覚レベル)を通電することで、損傷部位の筋衛星細胞(サテライト細胞)を活性化させ、復帰までの期間を短縮できる可能性があります。 - 筋肉の萎縮防止
外傷後の固定や不活動による筋力低下・筋萎縮に対しても、組織再生のシグナルを送り続けることで回復を補完できる可能性を示しています。

最近の物理療法機器には微弱電流が搭載されている物が多いです。
出力も治療周波数も自分で設定できるものもあるので、機器購入メーカーの人などにも聞いて今回の論文の設定でも試してみるのもいいかもしれませんね☆
筆者の総括
論文の背景にもあるように微弱電流は未だに詳しい効果が導かれていません。
しかし世の中には論文内でも使用されている直流の物や、交流の物もあります。
おそらく一般的にも臨床の現場で使われている物理療法機器にも設定せれているものもお持ちではないでしょうか?
私が日々使用している伊藤超短波のES-400という物理療法機器にもマイクロカレントモードが備わっています。
設定によって極性(+やーをどちらを主軸にするかの設定)の変更も可能です。
私は【筋肉のクールダウン】【リリース後のもみ返しの予防】【痛みの軽減】【急性外傷の炎症の改善】【筋緊張の軽減】などに色々な用途に使用しています。
特に鍼を打った近辺にマイクロカレントを流す事で患者さんの反応も良く、多用しています。
マイクロカレントの長所でもあり短所でもあるのが「感じない微弱電流」という事でしょう。
私も最初はケンちゃんが患者さんに言われたような事を思いましたし、実際にも言われた事もあります。
しっかりと説明する事、説明する事で体感できる方であれば施術後の違いも感じてもらえることもあります。
今回の論文要約で微弱電流に興味を持って知識と経験をより深めていきたいと思います。
今回の論文
著者
Fujiya H, et al.
掲載誌
The Journal of Physiological Sciences
掲載年
2015年
免責事項
本記事は最新の研究論文(医学的文献)に基づいた情報提供を目的としており、特定の治療法や効果を保証するものではありません。特定の症状の診断や治療については、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。

