鍼灸関連

通電周波数の違いが局所の筋血流・筋酸素供給にどう影響するか

medebilabo00
ルー博士
ルー博士

ケンちゃん!さっきの患者さんに対して鍼通電を行っていたね!
普段はどういった症状に鍼通電を使用しているの?

肩こりや慢性的な腰痛によく使うかな〜
「肩こりがキツイ」って普段から言ってる人に、鍼通電で筋肉の収縮を起こして緊張の緩和とミルキングアクション目的にしてるよ!

ルー博士
ルー博士

おぉ!いいね!!
ケンちゃんは一緒に勉強するようになって専門的な言葉も身についてるし、ちゃんと目的を持った施術ができるようになってきたんだね!
でも、鍼通電や電気療法の周波数とかって考えた事ある?

え?周波数によって効果って違うの??
前の人が設定したままに使ってた!

ルー博士
ルー博士

結構奥深い所だから、それを知るだけでも臨床での施術結果は変わってくるから一緒に勉強してみよう!!!

通電周波数の違いが局所の筋血流・筋酸素供給にどう影響するか

研究の背景・目的

臨床における鍼通電療法(EA)は筋緊張緩和や血流改善を目的として頻用されますが、「通電周波数の違いが局所の筋血流・筋酸素供給にどう影響するか」についてのヒトを対象とした定量的比較は限られていました。
本研究は、健常成人男性を対象に、1Hz(単収縮を起こす超低周波)と20Hz(不完全強縮〜強縮を起こす中低周波)の鍼通電を行い、近赤外分光法(NIRS)を用いて局所筋組織の酸素動態(筋血流・ヘモグロビン量・組織酸素飽和度)と全身の自律神経系循環指標(血圧・心拍数)を経時的に比較・検証することを目的としました。

主な知見と方法・結果

健常成人男性8名を対象に、前腕部(手三里および曲池付近)へ刺鍼通電(15分間通電、終了後20分間の回復期を測定)を実施。1Hz、20Hz、およびコントロール(無刺激)の各条件で比較しました。

局所の筋血流・筋酸素化(NIRS指標:TOI / nTHI)

通電中(15分間)

〜20Hz〜
通電開始に伴い、筋の強い収縮による内圧上昇のため、組織酸素化指標(TOI)および総ヘモグロビン指標(nTHI:筋血液量)が一過性に低下しました。

〜1Hz〜
単収縮(リズミカルなピクつき)のため、通電中の極端な阻血的低下はみられませんでした。

通電終了後(回復期20分間)

〜20Hz〜
刺激終了直後から顕著な反応性充血(急激な血流・酸素供給の増大)が生じ、ピーク時のTOIおよびnTHIはベースラインを有意に上回り、1Hz群やコントロール群と比較しても有意に高値を示しました(P < 0.05)

〜1Hz〜
緩徐な酸素化の上昇は認めたものの、20Hzほどの爆発的な血流・酸素供給増加(リバウンド効果)はみられませんでした。

自律神経系・循環動態(平均動脈圧 MAP・心拍数 HR)

通電中および終了後を通じて、1Hz・20Hzともに血圧や心拍数に有意な変動は認められず一定を保ちました。

これにより、筋血流の増加は「全身的な交感神経興奮に伴う血圧上昇」によるものではなく、刺激された筋組織局所の血管拡張・微小循環反応(NOや血管拡張物質の関与など)による独立した局所反応であることが示されました。

まとめ

局所の筋疲労や虚血性筋緊張(コリ・こわばり)に対して筋血流および酸素供給の回復を最も狙いたい場合、単収縮の1Hzよりも、持続的な収縮を起こした後に強力な反応性充血(リバウンド血流増加)を引き起こす「20 Hz」前後の周波数が非常に有効であることが示唆されました。
臨床的には、局所循環不全を伴うトリガーポイントや慢性的な筋硬結に対しては20Hz等の少し高めの低周波、心身のリラクゼーションや持続的な筋ポンプ作用を狙う場合は1〜2Hzといった使い分けの客観的根拠となります。

筆者の総括

今回の論文にて1Hzと20Hzの鍼通電による筋血流量の増加について知る事ができました。
これにより【筋疲労】【筋緊張(こり)】に対しては20Hz前後の周波数帯が有効であることが示唆された、臨床的にも意義深い結果だったと思います。
以前書いたブログでも2Hzではエンケファリン・β-エンドルフィン(μ・δオピオイド受容体)、100Hzではダイノルフィン(κオピオイド受容体)が出る。
つまり周波数によって疼痛抑制の機序も違う事がわかっています。

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・急性的な激しい痛みに早期の鎮痛反応を促したいのか?(100Hz)
・慢性的な痛みに対して持続的な鎮痛効果を狙いたいのか?(2Hz)
・筋緊張に対してアプローチしたいのか?(20Hz)


私の鍼灸院にはラスパーA・MCという鍼通電機器があります。
こちらは3•10Hz、3•15Hz、3•30Hz、3•50Hzなどの疎密波で使用できますし、連続した周波数でも通電が可能です。
今回学んだ内容に近しい周波数で設定を行い「今何を目的に効かせているのか?」を私は常にイメージし臨床に臨んでいます。

今回の論文

論文名
The Effect of Electroacupuncture with Different Frequencies on Muscle Oxygenation in Humans

著者
Kenichi Kimura, Takayoshi Ryujin, Makoto Uno, Ikuro Wakayama(木村研一, 龍神貴祥, 宇野全計, 若山育郎)

掲載誌
Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine

掲載年
2015年

免責事項

本記事は最新の研究論文(医学的文献)に基づいた情報提供を目的としており、特定の治療法や効果を保証するものではありません。特定の症状の診断や治療については、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。

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Wataru
Wataru
鍼灸師 / 柔道整復師
柔道整復師14年目 / 鍼灸師8年目 / 医学的根拠を基に安全な鍼灸施術や外傷施術を提供するべく日々奮闘中。色々な医学論文を読んでしっかりと勉強していきたい / 趣味:サッカー、DIY
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